私は先に、「挨拶ひとつずつ、応答ひとつずつが、
自然な上に、超ハイレベルで配慮されているべきです」と述べました。

それはなぜか?

答えは「クライエント様を害してしまうから」です。

「元気」が禁句なのは、クライエント様を言葉に詰まらせ、
元気じゃなくちゃいけないと思わせてしまい、害すからです。
「おめでとうございます」が禁句なのは、
クライエント様のお気持ちを勝手に憶測し誤解したことになって傷付け、
相談しづらくさせることも、害したことになるからです。

こんなふうに、挨拶や応答ひとつで、
いとも簡単にクライエント様を害してしまうことが起こるのです。

応答は、基礎でありながら、大変デリケートなものであり、
最も技術を要するものです。

最初にお迎えするときの挨拶から、
「ドアが開き、クライエント様の姿が見えた」ということに対する「応答」が
もう始まっている、ということをわかっていてください。

応答ひとつで、カウンセラーは、
クライエント様のお役に立つことも、害してしまうこともできます。

カウンセラーという職業は、
自分の応答ひとつでクライエント様を害してしまうかもしれない、
人を簡単に傷付けることができる、そんな、非常に怖い職業であることを、
強く自覚してください。

例えば。

応答が、ただ少し弱かった、というだけで、
「自分のことを軽く扱った」という気持ちにさせてしまったり、

応答で、ほんの少し別の視点を与えてみただけで、
「わかってくれなかった」という腹立たしい気持ちにさせてしまったり、

応答で、”繰り返し”を使っただけで、
「バカにされた」と感じさせてしまったり、

応答に、”余計なひとこと”が入っていたばかりに、
「自分のことを非難した」という気持ちにさせてしまったり、

応答の、口調や抑揚ひとつで、
「言い方が気に食わない!」という気持ちにさせてしまったり。

こんなふうに、
応答ひとつで、クライエント様を害す可能性があり、
応答は、常に、ありとあらゆるリスクを伴っているのです。

だからこそ、挨拶ひとつずつ、応答ひとつずつが、
自然な上に、超ハイレベルで配慮されている必要がある。
ということなのです。

自分の言葉と態度ひとつで、クライエント様を害すかもしれない、という
恐怖感、危機感を、強く持ってください。


また、クライエント様は、カウンセリングにいらっしゃいますと、
「自分が今どのような状態で、今後どのような治療が必要になるか?」や、
「自分は病気なのか?」
「自分は治る・直るのか?」ということを、
大変不安な気持ちで質問していらっしゃいます。

そのときに、「あなたはこうしないと、こういうふうになってしまいますよ」と
脅すようなことを言う方がおられます。

これは本当に、言語道断です。

カウンセラーとして、終わっています。

こういう言い方・伝え方しか思い浮かばない方は、
感受性に欠けているとしか言いようがないです。

弱っている方には、こういう言い方が一番堪えることを、
そしてそれは大変危険なことである、ということを、わかっていてください。

弱ってはいない私の個人的な見解を述べれば、
お札やお守りやツボを売りつけるインチキ宗教家と同じように見え、気持ち悪いです。

クライエント様の不安をあおるような発言は、未来を絶望させるような発言は、
カウンセラーとして、決してしないで頂きたいと思います。

そうではなくて、
「たとえばこういうペースで何回くらいカウンセリングが進んでいきますと、
こんな風に、これくらいのレベルで楽になっていける可能性があり、
あなたが希望している形に近い状態に、なっていけると思いますよ」という内容のことを、
重〜くもなく、軽くもなく、未来を描けるような形で明るめに伝えてあげられる、
そんなカウンセラーになって頂きたいと思います。

逆に、今のクライエント様には想像もできないような、
輝きすぎる未来を説明するのは、酷です。
その未来は、遠すぎる。→害してしまう。

ほんの少し頑張ってみたら、手が届きそうな、そんな未来を、説明してさしあげてください。


もうひとつ言います。

聴いている「だけ」・・・これもクライエント様を、ものすごく害します。

そのことを、知っていてください。

「前のカウンセラーは聴いているだけだったので・・・こちらに来ました」
という苦情を聴かせて頂くことが大変多いのが現実です。

この件や、応答については、もっと深く後述します。

クライエント様を、決して害すな、脅すな。
これは心理士として、最も基礎的で、最も重要な、心構えです。

決して、常に、忘れないで頂きたいと思います。

そもそも私が、このブログを立ち上げ、
服装だの爪だの素養だのまで厳しく言及しているのは、
全てこの「クライエント様を害さないため」なのです。

 

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