各種心理療法については、良書がたくさんございますし、
教えてくれるところもたくさんあると思いますので、
私はここでは言及致しません。

ただ、臨床をやったこともないような人間が、
各種心理療法を教えていることも多く、そのことは甚だ問題はあれど、
それでも、学ぶ機会には恵まれていると思います。

しかし、臨床を目指す方々は、

まだまだ精神疾患について知らなさ過ぎる、

障害のことを知らなさ過ぎる、

お薬のことを知らなさ過ぎる方が、大変に多いです。

この知識が無ければ、臨床現場ではお話になりません。

「ちょっとおかしいと思ったら、医者へ行くように言えばいい」
と思っておられる方が多い気がします。

一体、これのどこが、専門家といえるのでしょうか?


はっきり申し上げます。

多くのクライエント様の見た目は、ごくごく、普通です。

見た目から精神疾患だとはっきり判別できるような方は、
高額なこともあってなかなかカウンセリングにお見えになることはなく、
入院されているか、福祉施設を利用しているか、経済的に家族に守られているか、
カウンセリングに行く体力も気力も無い場合が多いと思って頂いた方がいいです。

いらっしゃるとしても、見た目もかなり普通で、
既に診断名が出ており、服薬もしており、
普通に働いておられるか、もしくは休職中である方が多く、
ご家族が治療を焦ってご本人をお連れになる場合や、
ご家族が対応に困ってお連れになる場合や、
ご本人に明確なニーズがあってお越しになる方が多いです。

この場合は、そのような精神疾患をお持ちでも、
適切に対峙できることが求められてきます。

ということは、裏を返せば、
ほとんどの方が見た目から精神疾患だと判別できない、ということになります。

これは、かなり際どい罹患初期の方、これからひどくなっていくかもしれない方を
心理士が判別できなければならない、ということです。

判別できないと→病院受診をお勧めすることができません。

→治療開始が遅れ、クライエント様を害します。

神経症の方は特に、見た目の変化がございませんので、
お話の内容からしっかり判別できるべきです。

また、逆に、カウンセリングに適している回復期に入っているのか?を
判別できることも大変重要です。

そして、逆に、「この方には外因・内因・心因全ての精神疾患は認められない」と
明確に判別できる技術も大変重要です。

さらには、その方が既にお薬を飲んでおられる場合、
お薬を見て、どのような方向性の治療をドクターがしようとなさっているのか、
それもわかるようになれていた方がいいです。

その上で、この方はお薬で治るのか、
お薬で治るのに飲んでいるお薬の種類が良くないのか、量が足りないのか、
お薬を止めて頂いてカウンセリングに来た方が直る・治るのか、
判別が付くようでないといけません。

かといって、カウンセリングで治るからといって、
すぐにお薬をやめるように無理をさせるのもいけません。



たとえば、

あなたは、「うつ」の初期症状が、判別できますか?
うつだとしたら「どの鬱」なのか、判別できますか?

鬱の薬を飲んでいるのに、実は鬱じゃない患者の見分けがつきますか?

鬱の薬をいきなりやめたら、どんな身体症状が出るか、知っていますか?

うつ病と糖尿病を併発したら、どのようになるか知っていますか?

あなたは、「うつ病」と「躁うつ病」が判別できますか?
何を持ってして「躁」なのか、わかりますか?
ハイテンションだったら「躁」ということで、いいのでしょうか?

あなたは、「統合失調症」の初期症状が、判別できますか?
どのような話し方・表情に変わっていくのか、知っていますか?
また、統合失調症には4つの型があることを知っていますよね?
さらに、入院していない・服薬もしていない統合失調症患者が、
実社会で、どのようなことをしてしまいがちか、知っていますか?
ご家族が何に困るか、知っていますか?

「自律神経失調症」という病名は、存在しないことをご存知ですか?

「ヒステリー」の本当の意味と症状を、知っていますか?
女の人が感情的になることだ、と勘違いしていませんか?
ヒステリーと判別できたら、心理士として真っ先に何をすべきか、わかりますか?

あなたは、「てんかん」をお持ちの方が目の前で倒れ、意識を失ったら、
適切に対応できますか?ただ慌てて救急車を呼びますか?

逆に言えば、なぜてんかん発作が起こるのか、その仕組みがわかりますか?
倒れる以外に患者様にどのような苦痛や身体症状があるか知っていますか?

あなたは、「人格障害」をお持ちの方から攻撃されたら、
適切に対応できますか?

あなたは、クライエント様が目の前で解離を起こし、
別の人格に入れ替わったら、どうしますか?

あなたは、クライエント様に陽性症状が無くても、
陰性症状から罹患を見分けることができますか?

めまいや吐き気を訴えるクライエント様に、
ただひたすら精神疾患を疑ったり、ストレスの要因ばかり探りますか?

お薬は絶対に飲みたくない!とおっしゃるクライエント様を、
上手に病院受診に導けますか?

精神科で扱われる薬物名称を100種類以上知っていますか?

「このお薬は何回飲んでもいいよ」
「このお薬は、ちょっと気持ち悪くても、我慢して飲もうね」
「このお薬が余っていたら、今だけ少し飲む回数を増やしてみよう」など、
お薬の飲み方について、励ましながら服薬指導ができますか?

睡眠導入剤にあらゆる種類があることを、知っていますか?

この薬はこのような副作用が強い、と知っていますか?

どんなに医師が「そんなはずない」と言おうと、
治験データにも無い薬の副作用が出る方がおられ、
お薬に、過敏に反応する体質を持っている方がいることを、知っていますか?

正規品とジェネリック医薬品の違いが、わかりますか?

精神障害者手帳や、自立支援制度について、理解していますか?

精神障害を持つ方を上手に就職に導くことができますか?

主治医と産業医の役割の違いが、わかりますか?

リファー先の精神科医を、得ていますか?

必要に応じ、ご家族や、企業人事と専門的なお話ができますか?

クライエント様の復職に適している時期が、わかりますか?

逆に、大企業では最大2年ある休職期間ですが、
休職期間が数ヶ月という短い期間しかない会社にお勤めの方で、
復職の時期が迫っているクライエント様に、
適切なカウンセリングを提供できますか?

最近は、ご自身が「精神病なのではないか?」
「会社でこういうことができないのはADHDなのではないか?」
「対人に問題が出るのはアスペルガー障害なのではないか?」と疑って
精神科ではなく、カウンセリングにお越しになる方が増えています。

ありとあらゆる症状・疾患・疑念・困惑をお持ちの方が、
カウンセリングにお見えになります。

どのような精神疾患にも、うんと詳しくなければなりません。

精神疾患や、精神症状というものを、なめてはいけません。

脳という臓器が持つ機能は、人体全てをつかさどる神秘的な領域であり、
脳の指令ひとつで様々な症状・行動・発言・態度を呈します。

心理臨床家は、クライエント様のお話やお気持ちだけでなく、
脳を含む、人体全体に気を配り、
クライエント様の全身を全体的に管理できるレベルの知識を備えていないと、
結果クライエント様を害してしまうことになりかねません。

精神疾患や障害、お薬、については
劇的に勉強されてから、臨床家になって頂きたいところです。

できれば本で学ばれてから、精神科出身の精神科医か、
圧倒的な臨床件数を誇る精神疾患に詳しい現役心理士から学ぶのが、
一番よろしいかと思います。

心理療法と、その使い方を学ぶだけでは、
臨床の世界にはいられません。

心して精神疾患と薬物、社会資源についても勉強し、
本物の臨床家になることを目指して頂きたいのです。

 

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