昔と違い、今は多くの方が自らカウンセリングを学ぶ時代になりました。
非常に喜ばしいことだと思います。
カウンセリングを学ぶと、人間関係を良好に築けるようになりますし、
自分の軌道修正もできますし、普段の生活に、うんと役に立つ知識が身に付きます。

けれども、私が驚くのは、まだ漠然とカウンセラーになりたいと思っている方や、
カウンセリングの勉強をされている方の多くの方が、
プロのカウンセラーから、タダで、あれもこれも教えてもらおうと考え、
専門家に食い下がり、群がる人が後を絶たないことです。

さらには、プロのカウンセラーになりたての人までもが、
プロから、タダで、あれもこれも指導してもらおうと考え、
ガンガンメールしてくる人までいる、ということです。

正直なところ、「この資格はどうやって取ればいいんですか?」ですとか、
「カウンセリングスクールはどこを選んだらいいですか?」ですとか、
「この機関でカウンセラーをやるには、どうやってなるんですか?」といったことは、
それくらい、ご自分でお調べになったらどうか、と思います。

そのようなことも自分でできないような依存性の強さで、
心理士のような仕事が勤まるはずがありません。

なぜか?

それは心理士が、クライエント様から「依存される側」に立つからです。

クライエント様を、圧倒的な知識と技術と愛情で、抱え込まなければならないのです。

その心理士側が強い依存性を持っているようでは、
いえ、仕事という役割性格をかぶっているときすら依存する側でいるようでは、
クライエント様から頼られるような人になれませんし、
クライエント様から依存されて包み込む器の容量も足りない、ということになります。

昔と違って、今の世の中、インターネットに何でも出ています。
カウンセリング学校でも、プロのカウンセラーでも、
カウンセリングスクールの口コミや苦情でも、心理系の大学でも、
何でも、調べれば簡単に出てきます。
何十社でもご自身で調べ上げて、パンフレットを実際に取り寄せ、
本を読んで業界を知り尽くし、お値段も比較して、悪い噂がないか確認し、
面倒がらずに、ご自身でまず、よく、よく選別して頂きたいのです。
そこまで自分でやっていれば、おのずと何かが明確になってくるはずで、
これだ!となったら、決めればよいのです。

あるいは、まず自分でそこまでやってから、
プロカウンセラーの予約を取って、
きちんと正規料金を支払って、聞いたり、相談しに行けばよいのです。

自画自賛に聞こえたら大変申し訳ございませんが、
私は、高校生の時点で、
インターネットも無い時代に、この業界を徹底的に調べ尽くしてあり、
どの資格はどう取ったら良いかも多数知っており、
そのためにはどのくらいの時間とお金が必要かも知っており、
心理職で勤め先がほとんど無いことも、食っていけないことも知っており、
心理臨床の良い面も悪い面もわかり尽くしてあり、
その上で、大学の入試面接では多数の教授陣や臨床心理士を前に、
流暢にこの業界の現実や表と裏、課題点、自身の目指すことをよどみなく語りました。
口から勝手に出てくるくらい調べ上げていたのです。

私が優秀な高校生だった、と言いたいのではありません。

私が申し上げたいのは、フツーの高校生でもできるようなことを、
大人になって、タダで人に頼んだり聞いたりしているようではいけません。
ということです。

本当にカウンセラーになりたいのなら、それくらい、できるはずなんです。

自分で調べてみる、という行動・行動力は、
必ず自分自身を成長させます。


また、これは私に限ったことではないと思いますが、
心理カウンセラーになりたい、という方が大変に多いため、
カウンセリングの研修に行くと、
既に現役でプロカウンセラーをやっている人に対し、
どうしても、まだプロになっていない方が群がります。

はい、当然のことですし、仕方のないことだとも思います。

聞きたいこともたくさんあると思います。

でも、それは、してはいけません。

「そのくらい、タダで教えてくれてもいいじゃないか!ケチ!」とおっしゃる方、
お思いになられる方もおられると思いますし、お気持ちはわかります。

けれどもそれを、何十人にもされることを、想像してみて頂きたいのです。

自分の質問はほんの小さなことでも、それがいくつも積み重なったとき、
それはプロ側にとって「質問攻めに遭う」ことになります。

いえ、プロ側には、ご質問に対し、お答えし、お応えしたい所存はあるのです。

ただ、プロの心理臨床家が講師である場合も、研修参加者である場合も、
研修に行く度にそのようなことをされ、休憩時間を取ることもできず、
帰ることもできず、エネルギーを奪われるのは、意外と負担なものです。

こういうことでお困りになっておられる臨床家や精神科医は、
結構たくさんおられるのではないかと思います。

私にとて、「できたらタダで聞いちゃいたい、ちゃっかり願望」はございます。

けれども、相手の立場に立って物を考えたら、
それをみんなにされたら?と考えたら、できないはずなのです。
我慢できるはずなのです。
よって、結果、ただのご挨拶に留める、という行動が取れるはずなのです。
何か聞きたいことがあったら予約を取る。お金をきちんと払う。
少なくとも私は、そうしています。
それでも、色々とご迷惑をお掛けしてしまうくらいなのです。

依存心をなくす、減らす習慣を付けることは、
心理職に就く人間にとって、義務と言わざるを得ません。

それは全て、クライエント様のためになっていくのです。

心理士自らが、精神的に自立していないようでは、終わっています。
そして、自立の姿をクライエント様に見せられないようではいけません。

そして、いつかカウンセラーになった暁には
同業者とのお付き合いをしていくようになるわけですが、
それにあたっても、他の先生への配慮、礼儀、対峙の仕方は大変に重要であり、
やはり他の先生への依存心をなくし、自立しているべきなのです。

人を頼るな、とは決して申しません。

ただ、人を頼り、教えを請うときの礼儀・礼節があります、ということです。

人間関係は、ギブアンドテイクです。

しかし、カウンセリングを学ぶ者と現役心理士というような
ギブアンドテイクが成り立たない関係では、
教えてもらう側が、礼儀・礼節・節度を持って、
知識を持っている人に対峙することが求められます。

そして、ギブアンドテイクが成り立たないからこそ、
講演や講習やカウンセリングで色々教えて頂くために
「料金」というものをお支払いし、お金を挟むことで、
せめてものギブアンドテイクを成立させることが求められるのです。

現役心理士になりますと、
心理士が自らカウンセリングを受けることは義務となり、
普通に心理士同士で予約を入れ、予約を受け、お金を払い、払われる、という、
そういうやり取りが普通になります。

そして、飲み会の席などでは割り勘で、同士・戦友・友達・知り合いとして、
初めてお金を挟まない、でも礼節のある関係で色々な話をするのです。

倫理にて、「枠」について前述しました。
それは、カウンセラーとクライエント様の関係だけではなく、
教える側・習う側・カウンセラー同士にもあるし、
必要なものだ、ということです。

とにかく厳しすぎるこのブログを読んでくださっている方は、
大変に意識の高い方だと私は思います。

どうか、どこへ、どのような研修を受けに行かれても、
プロにタダで教えてもらおうと食い下がる人には
決してならないで頂きたいと思います。

 

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