私は、心理士になることは、そもそも、勧めません。

人に勧められるような仕事ではございません。

そもそも、心理士なぞという仕事には、就かない方がよろしいです。

理由は、多数ございます。

まず、心理士という職業には、日本では、地位も、名誉も、立場も、ございません。
臨床心理士ですら、医局から干され、居場所が無く、別室に追いやられ、
国家資格を持っていないことで、医療界からは見向きもされません。
日陰の、資料室のような部屋で、役に立つとも立たないとも思われないような、
いてもいなくてもいいような存在として仕事をしていくことを、
まず、覚悟していて頂きたいと思います。

次に、金銭的に、まったく恵まれない職業です。
心理士は、まじめにやればやるほど、儲かりません。
開業心理士となりますと、なお、経営のプレッシャーは大きくなります。
心理カウンセラーとして、多くの方が開業し、
ほとんどの方が潰れていく現実をしっかり自覚し、
開業するのであれば、実務と経営、
この双方をしっかりやっていく強い覚悟、そして行動が必須となります。
潰れなくても、生活していくので精一杯であったり、
OLやサラリーマンよりもうんと働いた上、
彼らよりうんと収入が少ないことを覚悟してください。
売れるカウンセラーになりたければ、それだけの、行動が必要だということです。

次に、これは少し前述しましたが、
援助職でありながら、達成感がほとんどないことが挙げられます。
やりきった、よくできた、クライエント様がよくなって本当に良かった、
そういった感覚を持つ機会がなかなかございません。
ということは、自らの中に、
何かこの仕事を続けるだけの気力・体力・情熱を維持するだけの動機を、
持ち続けることが必要となってきます。
その「なにか」は、あなたの心の中にあるのだと思いますし、
無い方は、いずれ挫折し、決して続けられないだろう、と思います。

次に、人の秘密を抱える、という仕事は、当然、苦痛が伴います。
誰にも、言うことができません。
それを抱えるだけの器と、クライエント様のために努力するという信念が、
心理士には必要になります。

さらに言えば、人の命を守る、守りきる、という信念も必要です。
クライエント様の中には、攻撃性が内に向き、
自己への攻撃を衝動的に、あるいは常習的に行ってしまう方が
多数おられるのです。
こういったクライエント様に対し、決して説教することなく、
「死にたい」というお気持ちから目をそらすことなく、
クライエント様に忍耐強く寄り添い、
必ずお気持ち、お体、命を守るのだ、という信念を持っていることは、
心理士として非常に重要なことです。

逆に、攻撃性が外に向くクライエント様もたくさんおられます。
言葉でも、態度でも、心理士や精神科医に攻撃性を向ける方がおられます。
心理士は、決してクライエント様を害してはなりませんが、
クライエント様から害される覚悟だけは、最初にして頂きたいと思います。
クライエント様から害されてもなお、クライエント様を守ろうとする、
それが、心理士の務めなのです。

もしあなたがいつか、開業心理士になることを考えておられるならば、
HPを自分で作ることになるはずです。その際に、
自分の顔写真をしっかりHPに載せること。
自分の本名を名乗ること。
ネットの世界でこの2つをする、ということは、
自分の仕事に責任を持つ、ということに他なりません。
ネットの世界に本名を載せると何かと後々・・・と偽名を使う、
ハンドルネームや意味不明なあだ名で仕事をする方がおられますが、
そういう方は、開業しHPを持つ上での覚悟がないと思います。

この仕事をするには、正直、上記のような色々な「覚悟」が必要です。

私は高校生でこの仕事に就くと決意したために心理系の大学に進学しました。
18歳の頃から、臨床心理士からも、大学の教授からも、
「心理士になんて、なるものじゃない」と、
口酸っぱく何度も言われて参りました。
それでも私は、この仕事に就くことを、あきらめることはありませんでした。
私の同級生は60名ほどおりましたが、心理士になったのは私ひとりです。
皆が「私には、できそうにない」と言って、普通の会社に就職しました。

この、「私には、できそうにない」と思った同級生達は、
自身の性格と、この仕事の厳しさを、知っていたからだと思います。
どうやって生活するんだ?どこに勤め先があるというんだ?ということを含め、
勉強したからこその、考えだったと思います。

今、世の中には、数週間の受講で心理カウンセラーの資格認定証を与える、
というようなスクールが山のようにございます。

私は、このような現状を大変危惧しており、
あたかも、簡単に、すぐに、心理士になれるかのような風潮に
強い懸念を抱いているのです。

数週間で学べるような学問の分野なぞ、この世にひとつもございません。

こういったスクールにほだされ、高額な受講料を払って、
数週間学んだカウンセラーが、開業し、潰れるまでの間に、
一体何人のクライエント様を害しているのか?と考えると、
私はたまらなく恐ろしく、同業として恥ずかしくも思います。

そして、他のカウンセラーから害されたクライエント様がご来談され、
お話を伺えば伺うほど申し訳なく、このブログをはじめました。

上記のような低い条件下でも、
必ずクライエント様のお役に立てる心理士になる、
そのような覚悟のできない方は、どうぞ、この仕事に就くことを、おやめください。

生活に生かすカウンセリングを学ばれるに留めておく、
その方が、うんと、賢明です。

心理士の私が、断言します。

地位もなければ、お金もない、感謝もされなければ、報われもしない、
害してはならないのに害される、自分を忘れてもらうことが幸せとなる、
そんな仕事を、あなたは、やり続けることができるのでしょうか?

それだけの、覚悟が、おありなのですか?

とりあえず開業してみるか、と適当なことをやってみて、
「潰れちゃったので」と、クライエント様を放っぽり投げるのですか?

私は、完ぺき主義というよりも、

「プロ」というのは、こういうものだと思っております。

専門職に必要なのは、プロ意識です。

マッサージ師でも、鍼灸師でも、医師や看護師でも、
パイロットでも、野球選手・サッカー選手でも、
専門職なら、それ相当のプロ意識が必要だ、ということを
私は申し上げたいのです。

覚悟もプロ意識もない心理士は、クライエント様を害すだけです。

どうか、ご自身に務まる仕事なのかどうか、
きちんと見極めて頂きたいと思います。

 

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