2014年7月27日(日)愛知県豊田市で行われました
竹の子会主催の金森の2時間の研修を、
無事、終えることができました。

ご挨拶が大変遅くなりましたが、
研修にご参加くださった皆様、本当にありがとうございました。

研修中、多くの皆様より、
あたたかい「まなざし」と「うなずき」を頂きながら、
何とか講師を務めることができ、ほっと胸を撫で下ろしております。

まなざし、うなずき、そういう、体での表現が、
目の前にいる人を勇気付けたり、安心させたりするんだなぁ、と
私自身が、うんと臨床家として勉強になりました。

質疑応答中心というより、講義中心となってしまいましたが、
皆様より個別に頂戴しましたご質問には、
可能なものに関しましてはブログにてご回答して参りたいと思っております。

皆様にご満足頂ける研修となっていたら良いのですが、
拙い内容でお詫びの気持ちでいっぱいでございます。

また、ご参加者の中でブログを開設なさっている方々が、
私の研修について批評をくださっております。
本当にありがとうございます。
重ねて厚く御礼申し上げます。

今後の皆様の益々のご活躍を、強く深くお祈り致しております。

また8月より、通常のブログ記事を書かせて頂きますので、
今後とも、何卒宜しくお願い申し上げます。

 

現在、このブログをご覧下さっている
勉強中の方、プロの方がたくさんおられます。
本当にありがとうございます。

このブログがきっかけとなり、私金森が講師となって
2時間の研修を行うことになりましたので、
謹んでお知らせさせて頂きます。

参加条件がございますが、厳しい姿勢で学ばれたい方は是非ご参加ください。
あえて定員上限20名とする小規模研修ではございますが、
先着順で受付けをさせて頂いておりますので、下記ご案内をご覧くださいませ。


「心理臨床家の在り方を学ぶ」〜現役心理士に聞くタブーなき質問タイム〜

日時:2014年7月27日(日)
   10:15〜12:15 (開場10:05〜)

場所:愛知県豊田市 とよた市民活動センター

主催:竹の子会

講師:こころのそうだんしつTRUTH 心理士 金森真奈美

定員:20名

受講料:2000円

※お申込み・ご参加についての制限がございます
1.竹の子会の基礎講座、中級講座を両方受けたことがある方
2.カウンセラーの有資格者(認定団体等は問いません)
☆上記のどちらか、または両方に該当する方に限り、お申し込みの受付を致します。

急遽決まりました研修でございますことと、
金森は臨床で食べている人間でございますので、
当日は至らない点、多々あるかと存じますが、
皆様にお会いできますこと、直接ご挨拶させて頂けますことを
心待ちに致しております<(__)>

 

各種心理療法については、良書がたくさんございますし、
教えてくれるところもたくさんあると思いますので、
私はここでは言及致しません。

ただ、臨床をやったこともないような人間が、
各種心理療法を教えていることも多く、そのことは甚だ問題はあれど、
それでも、学ぶ機会には恵まれていると思います。

しかし、臨床を目指す方々は、

まだまだ精神疾患について知らなさ過ぎる、

障害のことを知らなさ過ぎる、

お薬のことを知らなさ過ぎる方が、大変に多いです。

この知識が無ければ、臨床現場ではお話になりません。

「ちょっとおかしいと思ったら、医者へ行くように言えばいい」
と思っておられる方が多い気がします。

一体、これのどこが、専門家といえるのでしょうか?


はっきり申し上げます。

多くのクライエント様の見た目は、ごくごく、普通です。

見た目から精神疾患だとはっきり判別できるような方は、
高額なこともあってなかなかカウンセリングにお見えになることはなく、
入院されているか、福祉施設を利用しているか、経済的に家族に守られているか、
カウンセリングに行く体力も気力も無い場合が多いと思って頂いた方がいいです。

いらっしゃるとしても、見た目もかなり普通で、
既に診断名が出ており、服薬もしており、
普通に働いておられるか、もしくは休職中である方が多く、
ご家族が治療を焦ってご本人をお連れになる場合や、
ご家族が対応に困ってお連れになる場合や、
ご本人に明確なニーズがあってお越しになる方が多いです。

この場合は、そのような精神疾患をお持ちでも、
適切に対峙できることが求められてきます。

ということは、裏を返せば、
ほとんどの方が見た目から精神疾患だと判別できない、ということになります。

これは、かなり際どい罹患初期の方、これからひどくなっていくかもしれない方を
心理士が判別できなければならない、ということです。

判別できないと→病院受診をお勧めすることができません。

→治療開始が遅れ、クライエント様を害します。

神経症の方は特に、見た目の変化がございませんので、
お話の内容からしっかり判別できるべきです。

また、逆に、カウンセリングに適している回復期に入っているのか?を
判別できることも大変重要です。

そして、逆に、「この方には外因・内因・心因全ての精神疾患は認められない」と
明確に判別できる技術も大変重要です。

さらには、その方が既にお薬を飲んでおられる場合、
お薬を見て、どのような方向性の治療をドクターがしようとなさっているのか、
それもわかるようになれていた方がいいです。

その上で、この方はお薬で治るのか、
お薬で治るのに飲んでいるお薬の種類が良くないのか、量が足りないのか、
お薬を止めて頂いてカウンセリングに来た方が直る・治るのか、
判別が付くようでないといけません。

かといって、カウンセリングで治るからといって、
すぐにお薬をやめるように無理をさせるのもいけません。



たとえば、

あなたは、「うつ」の初期症状が、判別できますか?
うつだとしたら「どの鬱」なのか、判別できますか?

鬱の薬を飲んでいるのに、実は鬱じゃない患者の見分けがつきますか?

鬱の薬をいきなりやめたら、どんな身体症状が出るか、知っていますか?

うつ病と糖尿病を併発したら、どのようになるか知っていますか?

あなたは、「うつ病」と「躁うつ病」が判別できますか?
何を持ってして「躁」なのか、わかりますか?
ハイテンションだったら「躁」ということで、いいのでしょうか?

あなたは、「統合失調症」の初期症状が、判別できますか?
どのような話し方・表情に変わっていくのか、知っていますか?
また、統合失調症には4つの型があることを知っていますよね?
さらに、入院していない・服薬もしていない統合失調症患者が、
実社会で、どのようなことをしてしまいがちか、知っていますか?
ご家族が何に困るか、知っていますか?

「自律神経失調症」という病名は、存在しないことをご存知ですか?

「ヒステリー」の本当の意味と症状を、知っていますか?
女の人が感情的になることだ、と勘違いしていませんか?
ヒステリーと判別できたら、心理士として真っ先に何をすべきか、わかりますか?

あなたは、「てんかん」をお持ちの方が目の前で倒れ、意識を失ったら、
適切に対応できますか?ただ慌てて救急車を呼びますか?

逆に言えば、なぜてんかん発作が起こるのか、その仕組みがわかりますか?
倒れる以外に患者様にどのような苦痛や身体症状があるか知っていますか?

あなたは、「人格障害」をお持ちの方から攻撃されたら、
適切に対応できますか?

あなたは、クライエント様が目の前で解離を起こし、
別の人格に入れ替わったら、どうしますか?

あなたは、クライエント様に陽性症状が無くても、
陰性症状から罹患を見分けることができますか?

めまいや吐き気を訴えるクライエント様に、
ただひたすら精神疾患を疑ったり、ストレスの要因ばかり探りますか?

お薬は絶対に飲みたくない!とおっしゃるクライエント様を、
上手に病院受診に導けますか?

精神科で扱われる薬物名称を100種類以上知っていますか?

「このお薬は何回飲んでもいいよ」
「このお薬は、ちょっと気持ち悪くても、我慢して飲もうね」
「このお薬が余っていたら、今だけ少し飲む回数を増やしてみよう」など、
お薬の飲み方について、励ましながら服薬指導ができますか?

睡眠導入剤にあらゆる種類があることを、知っていますか?

この薬はこのような副作用が強い、と知っていますか?

どんなに医師が「そんなはずない」と言おうと、
治験データにも無い薬の副作用が出る方がおられ、
お薬に、過敏に反応する体質を持っている方がいることを、知っていますか?

正規品とジェネリック医薬品の違いが、わかりますか?

精神障害者手帳や、自立支援制度について、理解していますか?

精神障害を持つ方を上手に就職に導くことができますか?

主治医と産業医の役割の違いが、わかりますか?

リファー先の精神科医を、得ていますか?

必要に応じ、ご家族や、企業人事と専門的なお話ができますか?

クライエント様の復職に適している時期が、わかりますか?

逆に、大企業では最大2年ある休職期間ですが、
休職期間が数ヶ月という短い期間しかない会社にお勤めの方で、
復職の時期が迫っているクライエント様に、
適切なカウンセリングを提供できますか?

最近は、ご自身が「精神病なのではないか?」
「会社でこういうことができないのはADHDなのではないか?」
「対人に問題が出るのはアスペルガー障害なのではないか?」と疑って
精神科ではなく、カウンセリングにお越しになる方が増えています。

ありとあらゆる症状・疾患・疑念・困惑をお持ちの方が、
カウンセリングにお見えになります。

どのような精神疾患にも、うんと詳しくなければなりません。

精神疾患や、精神症状というものを、なめてはいけません。

脳という臓器が持つ機能は、人体全てをつかさどる神秘的な領域であり、
脳の指令ひとつで様々な症状・行動・発言・態度を呈します。

心理臨床家は、クライエント様のお話やお気持ちだけでなく、
脳を含む、人体全体に気を配り、
クライエント様の全身を全体的に管理できるレベルの知識を備えていないと、
結果クライエント様を害してしまうことになりかねません。

精神疾患や障害、お薬、については
劇的に勉強されてから、臨床家になって頂きたいところです。

できれば本で学ばれてから、精神科出身の精神科医か、
圧倒的な臨床件数を誇る精神疾患に詳しい現役心理士から学ぶのが、
一番よろしいかと思います。

心理療法と、その使い方を学ぶだけでは、
臨床の世界にはいられません。

心して精神疾患と薬物、社会資源についても勉強し、
本物の臨床家になることを目指して頂きたいのです。

 


技術についての訓練について、かなり記述して参りましたが、
どうしても、大勢が集まる研修では、
講義と実技が両方入ってくるため、
長い時間の傾聴訓練やグループワークはなかなかできず、
「10分〜20分程度で1つの役割」が限度でしょう。

よって、自主的な勉強会を開いておられる方々は、
慣れてきましたら、30分・45分と、少しずつ時間を延ばしてみて、
その後、役割を交代してみるのもひとつの練習法なのかもしれません。

けれども、そのうち傾聴訓練に「わざとらしさ」を感じてくることがあります。
そんなとき、本当に訓練できるのは、普段の人間関係です。

普段の人間関係で、その方と会うことに慣れていても、
「本気で話を聴く」となりますと、大変骨が折れます。

でも、やれることが、たくさんあるのです。

・相槌の種類を劇的に増やす
・相槌のタイミングを劇的にうまくする
・軽い相槌ではなく、本気で相槌する
・相手の愚痴を本気で聴いて便器になる(その大変さを体験・理解する)
・こういうときどうしたら?ときかれたら、答えてみる・応えてみる
・一緒になって悩んでみたり、困ってみたり、怒ってみたりする
・少し質問する(相手がもっと言いたいこと・無意識だったことなどを引き出す)
・相手の話に興味を持ち続けることの苦痛を体感・理解する
・集中を維持することの困難さを自覚する
・登場人物を記憶する
・ゆがんだ認知はないか確認する
・果たして自分に一般論ではない有益で適切なアドバイスが思い浮かんだか?
・これがもしクライエント様だったら、見立ては?使う療法は?
・相手の性格をつかむ
・相手のニーズをつかむ
(ただ聴いてもらいたいのか、アドバイスが必要なのか・
 わかってほしいのか、許してほしいのか、同意が欲しいのか・
 背中を押して欲しいのか・など)


・・・なんでも練習できますね。

私も、普段のカウンセリングに加え、
これを、家族や友人と話すときに、
こういうことを練習している、ということです。

また、お友達の職場の話や、ご親族の話、恋愛や結婚の話を聴いていると、
その方の性格が色濃く現れており、
「この方の性格から他人を見ると、こう映るんだなー」
「この人がAさんに望んでいるのは、こういうことなのだろうなー」と、
言葉にならないものをつかんでいくことができ、
どこらへんに、どう反応・応答してあげたら
この方が「スッキリした!」というお気持ちになれるか?と考え、
すごく練習になるのです。

友達が相手ですと、結果2〜3時間も話をしていたりすることも多く、
友達との食事を利用して勉強した後は、
カウンセリング後と同様、頭痛がひどいです。

こうして、研修と合わせ、身近でも、練習は、たくさんできます。

そして、自己不一致を体験しまくり、
そこを自己一致していって成長していくのです。

このような研鑽を積んでいくと、少しずつ技術は身についてきます。
心理士の在り方が、体験として、身についてきます。

高い応答技術を持っていれば、必ずカウンセラー側に
「余裕」と「落ち着き」と「安定感」が生まれてくるはずです。

それは、「人間としての柔らかさ」につながってくるはずです。

たとえ金森のような”ヤクザ顔”でも、
余裕と落ち着きと安定感+ふわっとにこにこしていれば、
初回クライエント様にお会いするときから、柔らかさは出せるはずなのです。

これこそが、「暖かな関心」と「無条件の肯定」と相まったとき
自然で大きなノンバーバルな空気感が生み出され、
「ここ、なんか大丈夫そう」と思わせる場が作り出されていき、
それがクライエント様を包んでいくのです。

初回お迎えするとき、クライエント様は、
どんなところで、どんなカウンセラーなのだろうか?とご不安なのです。

ですから、こちらが硬い顔をしてお会いするようではいけません。
にこにこは、ふわっと、ほんのり、です。
ニコニコ〜!とは違う。これは場違いなのです。
そして暖かな受容・関心・肯定は、お迎えした時点から!必要なのです。

心理士としての適切な素養・知識・技術・倫理・表情・態度・挨拶・見た目、
このすべてが揃っていなければなりません。

ここまでの、安全な場と空気感まで提供できてこそ、
クライエント様は、カウンセラーに対し、
少しずつ安心して、少しずつ心をゆだねていくことができるのです。

自分の心持ちが危機感を基礎として、余裕・落ち着き・安定感にまで至り、
こういった安全な場を作り出せるようになれるまで鍛錬してください。

そして、現場にいるカウンセラーになってからも、
研修・研鑽・学習は、一生続いてゆくのです。

 


質の高いカウンセラーになるために、
そしてクライエント様を害さないために、もっとも有効な手段は、
「自分自身がカウンセリングを受けてみる」ことです。

それを、「教育分析」といいます。

カウンセラーの言葉ひとつで、自身の気持ちがどう推移するものなのか、
それを体感してしまうのが、最も有効です。

できれば、自分が本当に悩んでいることや、気に掛かっていること、
何かひとつのテーマについてなどで、複数のカウンセラーと話してみると、
カウンセラーの応答が全て、良くも悪くも違うことがわかり、
とても勉強になると思います。

クライエント様を害すようなカウンセラーになりたくなかったら、
自身が、応答を受ける側に立ってみなさい。
「あれ?」という応答をもらってみなさい。
そのときの、自身の感情の動きを体感しなさい。
自分で言われてみて、害される恐怖を、味わってみなさい。
できたら、下手なカウンセラーから応答をもらってみるのがいいです。
自分がカウンセラーから害されてみること。それが一番手っ取り早い。

また、心理士は、ノンバーバルな療法以外では、
何の道具も使わずに、クライエント様と対峙します。
自分の身ひとつしか、道具がありません。

その道具の性能を、教育分析で、見極めてみてはいかがでしょうか。

さらに言えば、心理士が、自らカウンセリングを受けるのは、義務です。

これをクライエント様が知ると、皆一様に大変驚かれます。
「え?先生が、カウンセリングを受けるのですか?」と。

けれども、心理士とて人間です。
悩みもあれば、困ることもあれば、愚痴を言いたいこともあれば、
孤独な職業に就いている苦悩もあったりします。

でも、悩みがなくても、困っていなくても、
心理士は、カウンセリングを受けるべきです。
なんてことない話をしていても、カウンセリングをしてもらうと、
ありとあらゆる、ものすごいことに、気付いたりします。
少なくとも、私はそうです。

そして、自分でカウンセリング料金の支払いをしてみると、
「高いなー」とか「きつい出費だなー」と思う。
下手なカウンセラーには「これってお金払った価値あるのかなー」って思う。
そんな思いを、クライエント様も、されているのだな、と、
私は身の引き締まる思いになり、支払いすら勉強になります。

また、
「ラーメン屋の主人がラーメンを食べたことがない、
なんていうことは、あるはずない」ように、
心理士とて「カウンセラーが、カウンセリングを受けたことがない、
なんていうことは、おかしい」ことなのです。

カウンセラーになりたいと思っている方は、
必ず教育分析を受けてください。
とにかく、ただ、小難しいことを考えずに、
あちこちで、あるいは一人の先生のところで、
何度もカウンセリングを受けてみるべきです。

それが最も大きな研修の場となるはずです。


またこれは、大変古いもので、白黒画像ではありますが、
「グロリアと3人のセラピスト」というビデオがあります。

このビデオは、一般人には手を出すことができないような、
非常に高額なものです。

産業カウンセラー協会では、これを1000円で見ることができます。

応答ひとつで、いかにクライエントの態度が変わり、気持ちを揺さぶるか、
非常によくわかると思います。

使う精神療法が変わるだけで、いかに多くのことが違ってくるか、
非常によくわかると思います。

1つの精神療法しか使わないことが、折衷カウンセリングと比較して、
どのような影響を与えていくかも、非常によくわかると思います。

多くの方に、是非ご覧になって頂きたいものです。

 


傾聴訓練や、応答訓練と、現場の一番大きな違いは、
「クライエント様が不安定である、ということである」と前述しました。

そうです。
学習仲間のように、クライエント様が皆、流暢に語り出すわけではないのです。

うまく話そうと緊張し、結果言葉に詰まって無言になり、
不機嫌から挨拶を無視され、「来たくもない」と暴言を吐かれ、
カウンセラーから嫌われるのではないかと恐れ、
自己嫌悪から泣き出し、嗚咽で日本語が判別できず、
症状から言葉が途切れ、蚊の鳴くような声でしか話して頂けない、
あるいは、結果何が言いたいのかよくわからないクライエント様に対しても、
最終的には、フツーに応答できなければ、現場にはいられないのです。

カウンセラーが迷っていては、動じていては、
さらには、動転して反射的に相手を害す言葉や態度を取ってしまっては、
クライエント様は守れないのです。

けれども、本物のクライエント様で訓練することは、どうしてもできません。

ならばせめて、本当にこれからカウンセラーになりたいのであれば、
まずは傾聴訓練で流暢に語ってくれる学習仲間に対し、
あるいはお友達やご家族や同僚のお話に対し、
本気で聴いて、高い集中力を維持する力を養い、
適切に、害さずに、60分以上連続して対峙・応答できるように訓練なさってください。

どのような状態のクライエント様が訪れようとも、
害すかもしれない恐怖感と危機感を基礎として、どっしりと、安定して、
あたかも恐怖など感じていないかのように涼しい顔をして座っていられるようになるまで、
そのレベルに至るまでの高い応答技術を身につける必要があるのです。

そのレベルに至ったとき、あなたは必ず、
無意味で不要な「繰り返し」「明確化」「要約」などは使わなくなっており、
クライエント様と、とても自然なキャッチボールができるようになっており、
よってクライエント様の緊張を徐々に解いていくことができるようになっており、
応答で害すことなく、クライエント様との人間関係と信頼関係を
自然と築いていけるようになっているはずなのです。

研修という安全で見守られた場なんかではなく、
こちらがクライエント様に対し
安全で見守られた場を提供しなければならないことを、
そして不安定なクライエント様を全面的に受け止め、抱えるのは自分なのだ、
ということを、しっかり自覚していなければなりません。


これは車の運転に似ています。
車という凶器になり得るものに乗っている、
そして自分の運転次第で人を害すかもしれないという恐怖感と危機感を基礎として、
どっしりと、安定して、あたかも恐怖など感じていないかのように
涼しい顔をして運転できるようになれるまで、きちんと教習を受ける。
交通標識、交通ルール、車の構造を理解し、状況判断といったものまで身に付けるために、
実際に車に乗って練習するのと同じなのです。

現場にひとりで出られるようになるには、
まずは理論を学び、教習所内で車に乗ってみて、次に一般道路に先生と共に出て行き、
先生からきちんと高い評価を頂けなければならないのです。

それと同じような流れを、カウンセラーになりたい人は、必ず経るべきです。

カウンセラーの資格を取れるところに通い、資格を取ったら卒業なのではなく、
研修という場(教習所内)で傾聴応答訓練をしっかりと行ってください。

カウンセラーは、どうしても、実際のクライエント様と練習することができません。
そう、一般道路で練習することが、限りなく難しいのです。
だからこそ、一般道に出る前に、「あなたは一般道に出ても大丈夫ですよ」と
スーパーバイザーやファシリテーターから言って頂けることが「仮免許」となり、
この過程がとても重要なのです。

そして、仮免許を持って一般道(現場)にデビューしてから、
あなたに本当の意味で免許証をくださるのは、クライエント様なのです。

私は先に述べました。
「あなたを本当の意味でカウンセラーにしてくださるのは、クライエント様なのです」と。

そうです。
多くのクライエント様から選んで頂けるようになり、
多くのクライエント様のお役に立てるようになって初めて、
クライエント様から、「信頼」「笑顔」という最高の免許証を頂けるのです。

一般道(現場)でクライエント様を害し、事故ばかり起こし、役にも立てない心理士に、
クライエント様は決して、本物の免許証はくださらないのです。

 


カウンセラーは、クライエント様のお話を聴かせて頂いているとき、
「応答」という技術を使って反応しています。

この「応答」は、バーバル的にも、ノンバーバル的にも、
行われています。

前述の通り、理論を学んだら、次は、
クライエント様のお役に立つためにも、
クライエント様を害さないためにも、
「応答という技術を、いかに磨くか?」ということが
最も重要になってきます。

もっと深く言えば、どの精神療法を駆使するにも、
「応答の中に各種精神療法が含まれている」のであって、
どの療法を使おうとも、「応答の高い質と配慮が問われる」ということです。

応答の中に精神療法が入っているということは、
「応答」が、最もクライエント様のお役に立てる技術になる、ということであり、
「応答」こそが、カウンセリングの最重要課題である、ということになるのです。

それなのに、「応答」にクライエント様を害す地雷が埋まっているのだ、
ということです。

このジレンマが、わかりますか?

しつこく言いますが、
自分の応答、言葉と態度ひとつで、クライエント様を害すかもしれない、という
恐怖感、危機感を、強く持ってください。

詳しく言います。

私が今回強く述べたいことは、
悪意がなくとも、故意はなくとも、
クライエント様が不安定で傷付きやすく弱った状態にあるがために
応答ひとつで、いとも簡単に害してしまう、ということが起こるのだ、
ということです。

この条件下にあることを忘れていては、
「害すな!」の本当の意味は、わからないのではないか?ということです。

それほどまでに、クライエント様の状態は不安定であることを、
あなたは本当にわかっていますか?ということです。

「害すな!」の記事に載っている例えのように、
もしこういう反応をもらったら、次はあなたは、それに対し、どう応答するのですか?
ということなのです。

あなたの目の前にいるのは、傾聴訓練に訪れる学習仲間などという人間ではなく、
傷付き、弱り、迷い、怒り、困り、疲れ、焦り、孤独で、不安定で、涙が止まらない、
そんな方々の目の前に
仲間もファシリテーターもスーパーバイザーもいない場で、
1対1で座っている、ということを、

擬似の話題なんかではなく、
その方に「現実に」切迫して起こっていることを話題とされていることを、

こういったことを本当に理解・想定した上で訓練しているのか?ということです。

その上で、「害す可能性」「害してはならない」の本当の意味を、

心理士という職務の責任の重さを、本当にわかっているのか?ということなのです。

訓練仲間ではセーフでも、
相手がクライエント様ならアウトになる応答というものが
たくさん存在するのです。

それくらい、クライエント様はデリケートな状態にあるのです。

習ったからと、応答でむやみやたらに繰り返しや明確化を使っていて、
本当にクライエント様を害さずにカウンセリングができるのか?
ということなのです。

理論というのは、実際にやってみたら、
「なんか妙じゃね?」「なんか変じゃね?」ということが起こります。
それを体験してこそ、気付き、改善でき、本物の技術が身に付くのです。

あなたには、一度の面談で、何度の応答が行われているか、想像がつきますか?
10や20なんかでは、済まないのですよ?
10分で役割を交代するなどということは、ないのですよ?
60〜90分、連続して応答を続けるのですよ?
「振り返り」と呼ばれるコメントなどもらえないのですよ?
1回の面談で、200の応答が行われれば、
200の地雷が埋まっているも同然なのですよ?

極論すれば、応答が100回あれば、あなたの応答次第で、
100回受容することもできるし、100回怒らせることもできるし、
100回明確化することもできるし、100回害すこともできるし、
100回励ますこともできるし、100回殺すこともできる、ということです。

この危機感、わかりますか?

ゾッとすることが、できますか?

その応答は、本当に適切だと言えるのですか?

理論だけを学んでクライエント様を害すカウンセラーになるのですか?

わかったら、怖かったら、本気で傾聴・応答訓練してください。

できれば、ファシリテーターやスーパーバイザーから
高い評価を頂けるようになるまで、訓練なさってください。

ゾッとできなかった方は、もうカウンセラーになるのを、やめてください。



金森は、10年以上の経験を持ってしても、
200分の5の確立で地雷を踏んでいるような気がしてならず、
200分の10の確立で不要な応答か不適切な応答をしているような気がしてならず、
やっぱり毎回「この仕事を辞めたほうがいいんじゃないか」と悩んでいます。

 

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